強い競合に近づかず、自分が強い競合になる
医療機関と患者さんの関係は、通常のビジネスにおける顧客との関係よりも、ずっと強固で安定的です。
新規開業を目指す先生にとって、強い競合の存在は脅威になります。なぜなら、新規開業のクリニックを受診する患者さんの中で、その病気に初めてかかった新規の患者さんの数はごく少ないと考えられます。ほとんどの患者さんは、すでに他院に通っていて、そのかかりつけ医に対して何らかの不満を感じているか、新規開業のクリニックに特別な魅力を感じた場合に限り、来院することになります。
そのため、強い競合相手が存在する地域では、開業を控えるべきです。
逆に言えば、競合となりえる医療機関が多く存在しても、そのいずれもがあまり手強くない場合には、新規開業を検討する余地が十分にあります。
クリニックの診療圏はとても狭いです。その狭い診療圏の中で高い評判を勝ち取り、一番になることは決して簡単ではありませんが、一番の評判を勝ち取った場合の効果は絶大です。
強いクリニックはますます強くなっていき、新規開業を抑制します。
「強い競合に近づかず、自分が強い競合になること」が、医療機関にとって成功し続けるための重要な戦略であると言えます。