クリニック開業にまつわる税務知識
本日は、クリニック開業後にまつわる税務知識をお伝えします。
通常、クリニックを開業した場合、”個人事業主”として開業します。
“個人事業主”として開業した場合、1月1日から12月31日を一つの期間と考えます。
1月1日から12月31日までで売上、経費がどれ位あり、結果利益がどれだけ出たかを税務署へ申告します。
これがいわゆる”確定申告”であり、翌年の3月15日までに申告する必要があります。
この確定申告によって所得税・住民税・健康保険の金額が決まりますので、確定申告は極めて重要な作業となります。
(ただし医師国保、歯科医師国保は一定額)
ここで売上には保険診療収入や自由診療収入、経費にはスタッフの人件費や薬等の仕入、クリニックの備品などの消耗品等種々のものが含まれます。
この売上から経費を差し引いて利益が確定します。
ここで医師、歯科医師の先生には”概算経費の特例”が認められています。
売上-「経費」=利益ですが、この経費を「実際にかかった経費」ではなく、
「概算の経費」を使えるという特例です。
社会保険診療報酬 概算経費率 加算額
2500万円以下 72% ―
2,500万円超~3,000万円以下 70% 500,000円
3,000万円超~4,000万円以下 62% 2,900,000円
4,000万円超~5,000万円以下 57% 4,900,000円
簡単に説明しますと、社会保険診療報酬が4,000万円、実際に経費が2,000万円かかったとします。
原則4,000万円-2,000万円=2,000万円が利益となります。
一方、概算経費を使うと、4,000万円―(4,000万円×62%+290万円)=1,230万円となり、利益を770万円圧縮できます。
原則でいくか、概算経費の特例を使うかは毎年選択できますので、毎年検討することが重要です。
なお、税制改正により概算経費の特例は①、②を満たすが条件となりましたので、ご注意ください。
① 社会保険診療報酬が5,000万円以下
② 自由診療報酬と合計して7,000万円以下