医院開業における融資の基礎知識
本日は、医院開業の際の借り入れに際しての基本的な知識をお話致します。
① 借入期間…医院開業においては初期投資のほとんどが建物と医療機器など固定設備であることから長期借入で賄うことが多いです。しかし、金融機関側にとっては、貸している期間が長いほど不測の事態に対するリスクが高まるため、長期借入をする場合、物的担保や人的担保が必要となります。
② 返済期間…同じ借入金額であっても返済期間により月々の返済金額は大きく変わるため生活に直結する問題といえます。そのため、事業収支をきちんとたてて利益に見合った期間を設定していただきたいと思います。
③ 保証人・連帯保証人…開業時の多くの場合は、銀行は、配偶者に対して連帯保証人として求めることが多く、公的金融機関では、配偶者の保証人を条件としないことが多いです。保証人たるに十分な人物がいない場合には、保証料を借入人が支払って保証してもらう機関である保証機関の利用があります。
④ 抵当権の設定…開業時の手順としては、銀行借入の場合、まずは購入した土地や建物それ自体を担保にして融資を受けるのが一般的ですが、それだけでは不足する場合には、それ以外の自己所有の資産を担保に差し出します。
⑤ 変動金利と固定金利…開業資金は長期で返済する場合が多く、将来の金利がどう変動するかの読みによって、借入利息の負担が異なってくるので重要な問題となります。
⑥ 元利均等と元金均等及び据え置き期間…開業資金を借り入れる場合には、支払利息が次第に減少する元金均等方式を採用するほうが望ましいですが、返済開始当初の元金返済の負担が大きくなるデメリットが発生します。その対策として、据え置き期間を設定するやり方も併せて検討します。一般的に医院開業後の数ヵ月間は患者数も少なく、資金的には苦しい状態が続くことが予測されるので、はじめの6ヵ月間程度、返済元金を据え置くことは妥当な策といえるでしょう。
⑦ 資金使途…金融機関への借入申込時点で資金使途を記入しますが、開業時の申込時点では不確定な要素も多くあるので、事前に誤解が発生しないよう説明しておくことが望ましいでしょう。
⑧ 無担保融資の取り扱い…無担保融資では、担保あり融資に比して審査が厳しくなる現実は否定できないので、銀行と打ち合わせながら資料作成の手数などが増加することはありますが、それでも無担保であることのメリットは大きいでしょう。