親子でのクリニック承継
医療承継には、大きく分けて「親子間での承継」と「第三者との間での承継」の2つがあります。また、それぞれ承継される医院が「医療法人」か「個人の経営」かによって手続きの方法も異なります。今回は前者の「親子間での承継」について、ご紹介いたします。
(1)医療法人の事業承継
親の代で医療法人化していて、その法人の経営を子へ承継する場合、以下の2つの方法が考えられます。
■所有権の移行・・贈与・譲渡・相続によって、医療法人の出資持ち分を親から子へ移す
■経営権の移行・・理事会で子供を理事長に選任し、経営権を移す
【気を付けなければならない税金】
■生前に承継が行われる場合 →贈与税
■相続開始時に承継が行われる場合 →相続税
診療所の所有者は法人であるので、
診療所の経営権を譲っただけの場合は贈与税・所得税は発生しません。
出資持ち分を譲った場合は、無償なら「受贈者」に対し「贈与税」が、有償なら「譲渡者」に対し「所得税および住民税」が課せられます。
また、出資持ち分を承継する際、内部留保でたまった資金により出資持ち分の評価額が高くなり、税金が高額になる場合があります。税理士などの専門家に相談しましょう。
(2)個人診療所の事業承継
【気を付けなければならない税金】
■生前に承継が行われる場合 →贈与税
■相続開始時に承継が行われる場合 →相続税
診療所の財産や債務の所有者は経営者である開業医であり、
それらを引き継ぐ際、財産の評価額の方が債務より大きい場合には後継者に贈与税が課されると考えられます。引き継ぎ時に、財産の評価額と債務との差額をできるだけ小さくしておくことがポイントです。