医療法人設立時の留意点(土地・建物)
今日は医療法人設立時の土地・建物の取扱いについてお話します。
土地・建物を先生個人が所有している場合、土地・建物を先生所有とするか、医療法人所有とするかという問題が出てきます。
都道府県のスタンスは医療法人が土地・建物を所有することが望ましいが、長期間の賃貸借契約による場合は先生個人所有でも差支えないとしています。
つまり、医療法人へ土地・建物を出資する方法も院長から医療法人へ土地・建物を貸す方法も認められていますが、借入金の引き継ぎ・税制面での関係上、どちらを選択するか慎重に見極める必要があります。
【医療法人へ出資した場合】
メリットとしては、土地・建物の購入のための借入金を医療法人へ引き継ぐことができます。
これにより、借入金の返済は法人の資金から行っていくことが出来るほか、利息は法人の経費に計上できます。
その他土地・建物の固定資産税、建物の減価償却費を経費に計上でき、法人の経費が増え、個人の負担が無くなります。
一方、デメリットとしては、法人が土地・建物を取得するに際して、不動産取得税や登録免許税がかかってきます。
また、先祖代々受け継いできた土地あれば、購入時の取得価額と現状の時価との差額(含み益)に対して、多額の所得税が課税されます。
【賃貸借とした場合】
メリットは、理事長本人が医療法人から定期的に家賃収入を得られることと、土地に含み益があっても課税されないことです。
デメリットとしては、土地・建物の借入金を個人の資金から返済していかなくてはならないこと、適正な賃借料を算定しなければならないことです。
一般的には、土地・建物を出資せず、賃貸借にするか、または建物を出資し、土地のみ賃貸借とする方法が多いようです。
これはやはり、土地の含み益に対する課税は避けたいとお考えの医師の方が多いからかと思います。