クリニックの集患と増患~立地の視点から
クリニックを存続させるには何が必要かというと、「患者数を増やす」ことです。
単に患者数を増やすというよりも、患者さんの満足度をハード、ソフトの両面で高めることが集患・増患につながることを前回までにお話しさせていただきました。
ここでは増患対策について、立地のいう別の角度からみていきたいと思います。
■ 患者数が伸び悩むのは立地のせい?
「開業したものの患者数が一向に増えない」
このような悩みを抱えてらっしゃる院長先生も多いのではないでしょうか。
スタッフサービスも充実している、設備も改善済み、なのになかなか来院してくれないのは「場所が悪いかも」と移転を考えられることも決して少なくありません。
しかし、移転には資金と労力が必要となるうえ、開業時の借金がある場合はさらなる経済的負担がかかります。
事前の立地調査が本当に適正だったか(競合の存在も含め)十分に現状分析し、慎重に検討する必要があるでしょう。
■ 立地からみるクリニック形態の例
◇ 医療モール(ワンフロアを借り切り複数のクリニックが存在)
複数で資金を出し合うため、初期投資が比較的低く、同一場所で各科目の診療が受診できるため患者さんの移動が楽である。患者同士のコミュニティも作りやすい。
その一方で、広さの制限がある、人間関係の悪化による撤退、別業種の入居で医療モールの特徴が失われる 等のデメリットもあり。
◇ 自宅兼用(1階部分をクリニックとする)
郊外の住宅地でよくみかけるケースで、資金面からみると経済的である。住宅地であれば、子供や高齢者が多い地域だと需要のある診療科目あり。
共働き世帯が多いと平日来院より土日や遅めの時間設定で対応することも想定する。駅からのアクセスや駐車場の確保、薬局が付帯しづらいデメリットもあり。
◇ 繁華街の高層ビル
アクセスはよく、日常的にオフィスで働いている人や高層マンションの住人には抵抗がすくない。買い物帰りに立ち寄ることも可能。どちらかといえば高齢者向けではなく、たとえば、整形外科を経営するなら若年層向けの「スポーツ整形」「フィットネスや健診予防」に特化するのもよいでしょう。
■ 地域の特性を知りましょう
自院の診療圏には実際に診療を必要としている人たちがどれほどいるのか、半径何キロまでを増患の対象圏と考えていいのか、リサーチしてみて下さい。
「立地」について必ずしも駅前である必要はないかもしれません。地域の患者さんにとって足が運びやすい所にあることが大切です。
開業する地域の診療圏の調査は、開業後におけるクリニック経営に大きく影響してきますので、時間をかけて行うことが理想的でしょう。