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労務管理上のトラブルと対処法

本日は、労務管理上のトラブルと対処法についてお話しいたします。

医院で起こりがちな労務管理上のトラブルとその対処法と予防策について、下記にまとめました。
特に、過労死、賃金、解雇をめぐるトラブルは深刻化することが多いので、発生させないよう適切に管理することが重要になります。
また、職員の問題行動が目に付いたら、はっきりと指摘し、かつ記録することが大事となります。

1.労災と過労死
労災とは、「業務上あるいは通勤途上の災害による労働者の負傷・疾病・障害または死亡」をいいます。
保健衛生業では、建設・製造業とは違って負傷は少ないですが、過重労働や精神的ストレスからくる健康障害が多いのが実態です。
医院側に健康配慮義務違反があれば、労災保険給付だけでは済まず、従業員から多額の損害賠償を請求される場合があります。
このたび、過労死等防止対策推進法(過労死防止法)が平成26年6月20日に成立し、同年11月1日に施行されました。
過労死という言葉が初めて書き込まれた法律であり、企業等は国や地方公共団体と密接な連携のもとで過労死防止のための対策を行わなければならないとしています。
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数などを取りまとめています。
直近の平成25年度のデータでは、精神障害の労災請求件数が1,409件(前年比152件増)と過去最多となっています。
その理由として、仕事上のストレスにより医療機関でうつ病と診断される人が増えており、うつ病などを労災申請できるとの意識が浸透してきたことが挙げられています。
業種別の精神障害に関する事案の労災補償状況は、請求件数、支給決定件数ともに「医療,福祉」(大分類)の「社会保険・社会福祉・介護事業」(中分類) 119 件、 32件が最多です。
また、「医療,福祉」(大分類)の「医療業」(中分類)の請求件数が96 件で二位、支給決定件数が 22件で三位です。いかに、医療業界に密接した問題であることを認識しておくべきでしょう。
なお、厚生労働省の労災認定基準は、長時間の過重業務として、「発症前の長期間にわたって、著しい蓄積をもたらす過重な業務に就労したこと。
疲労蓄積の観点から負荷要因について検討され、労働時間については、発症前1ヶ月おおむね100時間または発症前2~6ヶ月にわたって1ヶ月おおむね80時間を越える時間外労働が認められる場合は、業務と発症の関連性が高いと評価される。」と規定されています。
過労死を防ぐには、労働時間を示す書類を整備・保管し、上司または医師による定期的なストレスチェックを行うことでしょう。

2.労働条件をめぐるトラブル
労災よりも頻度が高いのは、労働条件をめぐって「こんなはずじゃなかった」ともめるトラブルでしょう。
特に、賃金問題や解雇理由については深刻化することが多く、多額の訴求支払を請求されることや、書類送検されるケースもあります。
予防策としては、労働法を遵守することの徹底と、労働条件通知書や就業規則により労働条件を明確にしておくことが何よりも重要となってきます。
契約期間、休日、休暇、始業・終業時間、休憩時間、賃金、手当、諸手当、割増賃金、各種保険加入状況、退職に関する事項などを明確に従業員の方に書面にて通知を行うと良いでしょう。

3.問題職員への対処法
医院で多い問題行動は、セクシャルハラスメントではないでしょうか?
セクハラ行為には、性的な関係を迫るだけでなく、性的な冗談や異性が不愉快に感じる言動も含まれます。
つまり、行為者本人の意識はどうあれ、異性が嫌がったらセクハラだと考えるべきでしょう。
他の問題行為としては、無断欠勤や遅刻を重ねることや、業務指示を無視するようなことが考えられるでしょう。
そうした問題行動が目に付いたら、該当職員にその都度はっきり指摘することが重要です。
何も言わなければ暗黙の了解を与えたことになりますので、注意しておきましょう。
後に争いとなったときの証拠となるので、いつどんな指摘を行い、問題職員がどう反応したかを性格に記録しておくとよいでしょう。
医院の正しい対応を立証できるようにしておきましょう。

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